このままじゃ・・・ヤラれる!(完)

リヤタイヤが左に流れたまま、ひとつ目のコブを跳び上がる。それから、右、左、そしてまた右・・・フープスの真ん中にたどり着いたときにKXの車体はもう、天に祈るしかないほど平衡が失われていた。不意に、斜めに突きあげられて、カラダがハンドルバーにかぶさる。やわらかくブレーキペダルを引きずって、マシンの勢いをほんの少し削れたけど、ほとんど真横を向いた車体は元に戻せない。「あと、もうひとつ・・・」、最後のコブを越えられればと思ったけど、願いは天に届かず・・・ここで万事休す。

威勢よく左に弾かれたリヤタイヤ。カラダはハンドルバーの上に覆いかぶさったまま。ハンドルを左に向けてマシンの平衡を保とうとしたのも間に合わず――KX、ワタシの順に、固い土の上へ叩きつけられる。弾んで勢いの落ちないマシンとカラダが、すぐ脇の水たまりへとまっすぐに転がる。コースから外れて、フロントタイヤが斜面をすべり始めたところで、やわらかい土にハンドルの右グリップが突き刺さった。タイヤが水に触れるか触れないか、そのギリギリのところでマシンが止まり、それに押しとどめられるように、カラダも転がるのをやめた。その間に、nagasimaパパと同じ白いフェンダーが、見えなくなっていた。

両脚で踏ん張れない、足場の悪い斜面と格闘している間、反対のコース脇にマシンを停めて心配してくれていたのは、iguchi師匠だ。師匠のフープスでの速さには、脱帽するしかなく、この借りをどこで返すかが悩ましいところ。大きなカラダに似合わずコーナーをとことん小さく回り・・・ここまま何もしないでいると、第1戦だけじゃなく第3戦も、まったく歯が立たないかもしれない。そして、もう一人、跳べそうで跳べなくて、悶々と舐めている“ダブルジャンプ”を、ワタシの目の前でフワッと跳んで見せたryo。こんな四人とともに、今年一年、MCFAJを転戦することにした。ただ、今のままじゃあ、間違いなくヤラれる!何とかしなくては・・・いけないな!