MC戦記(第1戦) 3

「場所取り完了しました!

とりあえず、受付場所からまっすぐのところにダンロップのテープで8箇所くくっときます」

ざりままのメールにあった黄色いテープを見つけるよりも早く、受付のすぐ先に、見慣れた濃紺のハイエースが停まっているのがわかった。iguchi師匠は、たとえ練習でも、ワタシたちより遅れてくることがない。後ろには、先頭の“1”を白いビニールテープできれいに隠されたCRF150RⅡが降ろされている。今日は「本番」、気合いの入った笑顔をこちらに向けてくる。夏以来ひさしぶりに持ってきたテントを張れるように、隣に1台分空けて、Bongoのエンジンを切る。運転席から抜け出たカラダに、風はまだ冷たく触るのに、生まれたばかりの朝陽はやわらかく暖かだった。どうやらテントは必要なさそうだ。Bongoの右隣は、ざりままが自分たちのチームのために確保した場所。そこに居るはずのokano師匠は、先々週の転倒でひざを痛めたらしく、DNSだという。そして、先週、kidsと“やり合った”nagashimaパパも、公式練習を走ってみて本番に臨むかどうかを決めるらしく・・・ひそかに楽しみにしていた「ノービス5強のバトル」も、初戦はお預けのようだ。#21を貼り付けたCRFと、#41を貼り付けたKX。そして#29になっているiguchi車。いつものパドックに並んだ3台は、チームメイトでもありライバル同士。3台が3台とも、バラバラな方を向いているのが可笑しかった。

<つづく>