一乗谷城の戦い ~後編1/2~

結局電車が動きはじめたのは、30分遅れの9時20分。その知らせを待って家を出て、まったく同じ道順をたどり、もう一度駅を目指す。太陽はすっかり高く浮かび、風は強く吹いているけど、日向を歩けば前かがみだったカラダもゆるんでくる。切符売り場の上にある行先の電光掲示板は消灯したまま、まばらにやってくる北千住止まりの急行に、駅舎にあふれる人が次々と飲みこまれていった。

それから数本やり過ごしただけで、コンコースもプラットホームも驚くほど閑散としてしまった、田舎駅らしい落ち着きを取り戻したホームに下りて、陽だまりの中、いつ来るかわからない電車を待っていると・・・座席を高校生に占拠された急行が、ひときわゆっくりとホームに入ってきた。ガラス越しに中をうかがうと、誰もみなノートや本を広げてうつむいている。ちょっと微笑ましい光景だ。

<つづく>