雪見メンテ~土曜日編

大雪は、思っていたよりも半日くらいズレてやって来た。こんなことなら朝まで歌っておけばよかった――歌トモとの2年越しの「歌会」はついに延期になって、いつもの土曜日と同じように遅く起きた朝。ガレージの中でバラけたCRF150RⅡのエンジンから、まずはシリンダーを取り外す。さすがは150cc、堂々とした内径は、85ccのKXとは比べるまでもない。次は、ピストン。クランクケースに余計な部品を落とさないように、ケースのすきまにウエスを詰め込み、ニードルペンチを使って、ピストンにはめられたクリップを外す。右手でペンチをしっかり握りしめたまま、溝にはまった“C”の形をしたクリップをひねるように持ち上げる。ちょっとした反力が手のひらに伝わって、割とあっさりクリップとペンチがピストンから離れた。反対側のピストン穴からピストンピンを指で押し出すと、こちらもほとんど抵抗なく、スゥーッとピストンの外側に出てきた。新車で買ってから初めて、ほとんど7年振りに“腰上”がバラバラになったCRF。それほど苦労することなく外れていく部品は、世界のホンダの「精度」だろうか・・・。ただ、ガスケットやカーボンは、7年分しっかりとへばりついていた。剥離剤を使い、ガム状にこびりついたガスケットと、燃焼室にたまったカーボンをそぎ落とし、きれいになったシリンダヘッドに新しいスタッドボルトをねじ込んで、新品のピストンにシリンダをかぶせる。ここまでやって外を見たら、北風に雪が舞い、家もクルマも、白に包まれていた。