激走・三月までの~ひと月ぶりの練習編~

週末に聴く雨音は、ショパンなんてもんじゃなく、たいてい気持ちをダメにするけど・・・夜明け前から小さく窓を叩いていた旋律は、ギシギシときしむ背中を丸めてアタマからフトンをかぶる耳の後ろに、心地良く響いていた。背中だけじゃなくて腰や太ももまでしびれて、この前はいつ、こんな感じになったのか思い出せないほど疲れたカラダが、それでも何だかちょっとうれしい。saitoさんのチェッカーを受けるまでは走れなかった昨日、それでも温くまどろんでいられるのは、走れるだけ走れたから――。

粒の大きな雨が北風に乗り、ちょうどいい具合にryoとワタシをつつんでくれて・・・あのまま走り続けていたら、きっとどちらかが派手にやらかしていたはず。今日と一緒、恵みの雨。「ひさびさ、練習したねー」、雨の止んだ帰りがけにryoが言ったとおり、湿った土の上、“初心者”の頃を思い出すような夢中な時間だった・・・。

<つづく>