激走・三月までの~ひと月ぶりの練習編~3

tasaki家のハイエースは、コースから一番離れた列に静かに停められていた。その右隣、クルマ1台分を空けて、Bongoを並べる。「雨除けに」と積んできたテントを張るかどうか迷ってしまうほど、北風は思いの外強く冷たく、パドックに吹きつけていた。ぽつりぽつりとトランポが集まり、パドックも少しにぎやかになってきて・・・もうすぐ9時。テントのことは後にして、とりあえずCRFからマシンを降ろし始める。

9時の時報がスピーカーを通して聞こえてくるとすぐに、ざりままのCRFがコースへと出ていった。折れた骨を時間をかけてくっつけて――怪我をしても必ず戻ってくるその強さを、ワタシは持ち合わせているんだろうか。ryoとワタシと、ざりままと。常連のミニモトは、結局3台だけ。そんなざりままの、ryoのCRFよりも耳ざわりな音を追いかけるように・・・隣でKX250F、kyoheiくんのマシンにも火が入った。

<つづく>