激走・三月までの~最後!?の負傷編~

サンドコーナーの出口、スネークヒルに上る直線には、右に回りながらゆるいコブが二つ続く。コブの間に残った雨水が、土をゆるくして、数本のワダチを刻みつけていた。もっとも速く立ち上がれるラインは、ワダチも少しずつ深くなり、アウト側の左端に小さな縁を作りはじめていた。

11時30分、「30分、走りきれるかな?」ryoとそう話して出ていった1周目。そのひとつ目のコブを跳び損ねたKX85-Ⅱが、ワダチの縁に乗り上げるように進んでいく。一度スロットルを戻した車体は、傾くのをやめて、垂直に起き上がったまま。そこから反対側に倒れようとするマシンに、左脚が反射的に動いた――。

ワダチの縁、固くなった粘土にSIDIのブーツが引っ掛かり、そのまま膝から下が外側に開く。瞬間、“ゴキッ”と鈍い音が聞こえたと思ったら、すぐに激しい痛みが走り、左脚に力が入らなくなった。

<つづく>