夢幻のごとく

「一睡の夢」というには、ちょっぴり長い四十九年が過ぎて、昨日から五十年目を刻み始めた。ただ、記念すべきその初日は、土曜日の練習中に痛めた左膝のおかげで、どこまでもたどたどしく、不格好に右脚だけに頼る、昨年の同じ日に似た北風の強い一日だった・・・。

人間五十年。幼心に強く憧れを抱いた信長にかぶれ、そこからうわごとのように区切っていた人生も、あっさりその節目を越えてしまった。この先、はたして長いか短いか。何ひとつ予断を持たないから、少しは成りゆきを考えなくてはいけないか。この辺り、できたら学校かどこかで教えておいてほしかった・・・。

それでも時は止まらない。ならばしばらくは、昨日から左腕に巻き付けられたハミルトンと、その時を重ねていくことにしよう。機械仕掛けのように、気まぐれな時を。