激走・三月までの~雨の三十日編~

きっと日付が変わる頃から降り続いたのだろう。夜が明ける少し前、窓の下から水たまりを踏みつけて走るクルマの音が聞こえてきた。天気予報は、あっさりと当たってしまったらしい。それでも6時過ぎにはryoも居間に下りてきて、いつもの晴れた日曜日のように、お湯を沸かし、珈琲を淹れて、シロとネロを散歩に連れ出す。それぞれがそれぞれに動き、1時間ほど過ぎて7時を回った頃、最後にポットと昼飯のカップ麺を積みこみ、ゆっくりとBongoに乗りこむ。県道の上、雨は上がっていて、薄い雲の向こうに太陽の影が映っている。やっぱりその日は、やってきた。湿った灰色の空とともに・・・。

<つづく>