梅雨の晴れ間に~MCオフビ編~6

<6/23の続き>

それでも・・・。

カラダに“しみついている”コースと同じようには、いくはずもない。出遅れた焦りについ、着地する側が切り立つテーブルトップを忘れ・・・何度も平らな地面にまで跳び降りていっては、そのたびKX85-Ⅱが小さく屈んで“ギュッ”と鈍く音を立てる。ただ、今日の左ヒザは、すいぶん頑張っている。乾いた夏の陽射しのおかげか、今のところ、何も不自由が無い。練習走行ですっかりくたびれた両腕にも、チカラが戻ってきて・・・これでワダチさえなければ、前を走るCRFにも簡単に近づけるのに。

せっかく詰めた間隔が、第2、第3コーナーを折り返している間に、また元に戻る。その先、第4コーナーは、誰もが大外を気持ちよく回っていく――そこをひとり、砂利の浮いた内側にラインを描いて、何かを求める。傾け過ぎないように、開け過ぎないように。左脚は添えるだけ――男桜木の“フリースロー”をアタマの中でなぞるように、きつく小さく回っては、またジャンプを跳び過ぎる。漂う土埃にまみれているうちに、口の中は砂だらけ・・・砂の粒が奥歯の間でこすれて、ジャリッ”と音がした。

それでも・・・CRFには届かない。仕掛けるのは、どうやらここじゃないみたいだ。

<つづく>