ガリバー旅行記

夏・夏・夏。

改札の真正面にある本屋さんは、棚も平積みも、夏の文字でにぎわっている。梅雨が明ければ、もう夏休み。旅行雑誌の一角は、夏の光に空も海も真っ青で、川面には山の新緑が映りこんでいる。この時季、必ず並べられる北海道の案内本は、中標津の波打つ直線道路を、その表紙に飾っていた。

宵闇の帰り道、間欠ワイパーで事足りていた雨は、路地の奥にまで水たまりを作りながら降り続いている。このまま週末まで、雨は強く残っていくらしい。観たくなるような番組もなくて、しかたなく、撮りためていた番組から、めずらしい洋画を選んで再生する。「ガリバー旅行記」――挿入歌の“Rock and roll all nite”がいい感じに話を盛り上げるアメリカン・コメディーに、笑いが止まらない――。

弾んだ笑い声が、薄く開いた窓から届く雨音を、さらり上塗りしていく。今年の夏は、回りまわって平年並みに暑くなるというから、まったくワタシ好み。旅行記も、相当まぶしい景色に彩られるはずだ。今年も島で走って泳いで過ごせるといいな・・・ガリバー旅行記のように、明るく楽しく。