来間大橋 1/2

今までに足を踏み入れたことのない県が二つある。一つが佐賀県。40になる前、“リフレッシュ休暇”と名のついた一週間の休みをもらって九州を走旅したとき、ついに行きそびれてしまったところだ。まだ、曲がりくねったアスファルトの上を走ることに夢中だった頃。有田焼や伊万里焼に惹かれることは、なかった。雨あがりの長崎は走れたのに、もったいない話。それでもmuraの姉さん夫婦が住んでいるから、いずれ機会はやってくるはずだ。そしてもう一つが、どうにも自分のマシンでは走るのが難しそうな、南海に浮かぶ島、沖縄県。初めての転職を決めたとき、「最後の社員旅行だから」と誘われていながら行かなかった南の島・・・こちらは「行きそびれた」というよりも、つまらない意地。今は後悔でしかない。山間の急峻な舗装路にしか興味が湧かず、海で遊ぶことなど考えもしなかった・・・あれから20年以上たった今、ようやく一葉の写真が、青く透きとおった海を、大きくたぐり寄せることになった。

<つづく>