雨もまた・・・

ずぶ濡れになって道東を走るryoに半分くれてやっても、まだ有り余るほどの熱気。午後には広がると言っていた雲は消えてなくなり、東に覗く空は、青が生きた水色をしている。雲はひとつも見えない。差し込む光は斜めに倒れて、往く人の影が、だんだんと長く濃くなっている。熱と光で白くまぶしかった街にうっすらと橙が宿り、夏は少しずつ形を崩しはじめていた。

大きく張り出した太平洋からの高気圧。その縁に今、北海道のほとんどを濡らしている低気圧が乗っかっている。その向こう側で、冷たい秋の高気圧が漂っている――ツーリングに雨はつきもの。もう1日我慢すれば、風の乾いた秋空が包み込んでくれる――「頑張れよ!」の言葉を呑み込むようにして水色を仰ぐと、汗がひとすじ流れて、頬からぽたりと落ちた。