洗車 1/2

爪の先を切り落したような三日月が、漆黒の闇に浮かび上がる。その隣に、一粒の星が瞬いている。昼の名残が、夜空を照らす――。

すっかり晴れ上がった空は、高く青く、秋風にうろこのように細かな雲をすべらせていた。外に出ると、太陽の光が風に揺れて、ほどよい感じにカラダを包んでくれた。湿気たガレージの中で、右に左にカラダをくゆらせながら、来週のための整備をするつもりが・・・gromとdukeの「洗車」を楽しめる休日がやってきた。

薄水色のポリバケツに水を半分くらい入れて、その上から台所用洗剤をグルグルグルグルとまき散らす。雑巾と、ホテルからそのまま持ち帰ってきた水を吸って膨らむスポンジと、柄の長い洗車ブラシ――それらを一気にバケツに突っ込んで、グルグルグルグルとかき回すと、白い泡がぶくぶくぶくぶくと湧きあがった。

ホースの水で濡らしたgromの黄色いタンクカバーに、引っぱり上げた泡だらけの雑巾を広げて、ばさっとかぶせる。円く動かして洗い始めると・・・素手の指と指の間に、ぬるりとした感触が流れた。

<つづく>