Walter Wolf

今思えば、ずいぶん好い時代に若かった。

フルフェイスのaraiは、濃い藍色の下地に真っ赤な線が斜めに走り、その上と下を金色が縁取っている。開いたシールドの奥、左よりも右が細くなった瞳が、まっすぐこちらを見つめている。その眼光は鋭く、“暴れん坊”の異名にたがわぬ力強さで、辺りを睨みつけている。その瞳に面長で小作りな輪郭は、20年以上も前の写真なのに、なぜか記憶に新しい。今もどこかですれ違っているような不思議な感覚の中、『Replica』と名づけられた新しい雑誌のページを、静かにめくっていく。

<つづく>