Walter Wolf 2

RZV500にRG500Γ。公道を走るその2ストロークは、排気量が500cc。車名にyamahaとsuzukiの性格の違いが出ているけれど、当時の“レーサーレプリカ”を地で行く2台は、限定解除の高い壁もあって、遠く憧れるだけの存在だった。それが縁あって社会人2年目の春、そのうちの1台に乗れる機会がやってきた。RG500ΓWW。レーシングスペックを公道へ解き放つことに長けたsuzuki渾身の1台は、アルミのダブルクレードルがロータリーディスクバルブ吸気のスクエア4を包みこむレイアウト。カラーリングも全日本仕様、きっちり水谷レプリカに仕上げてある。ウレタンスポンジのやわらかさを太ももに感じながら、抵抗のあるキックペダルを一気に踏み下ろすと、2軸クランクの4気筒がゴロロッと唸りを上げた。チョークを引いたままスロットルをあおると、4本のサイレンサーエンドから吐き出される白煙でバックミラーに何も映らなくなった。あのとき味わった昂ぶりは、いまだに破られることはない。

<つづく>