Last race

窓の外の白む時間が遅くなり、夜の明けきらぬうちにベッドから這い出る毎日がやってきた。枕もとのカーテンを右手で寄せると、外の冷気が出窓からフローリングの床へ、こぼれて落ちていく。窓ガラスは黒くにじんで、これから照るのかこのまま陰るのか、1日の始まりの輪郭さえ見せようとしない――。

今日のように寒かったあの日、たとえば朝から30℃を越え、空は青く抜け、目もくらむばかりの光の束が大地を射していたら・・・17個のコブを揃えたウォッシュボードも、違って映ったのかもしれない。そしてもっと胸を張って、挑むように突っ込んでいければ・・・もう少し若い数字で、最後を飾れたかもしれない。

それでも気持ちが、チェッカーフラッグまで「前」を向いていてくれたのは、左胸に「lotto」と書かれたベンチコートに身を包んだ視線が、メインスタンドから背中を押してくれていたから・・・。おかげで見せ場のひとつ、コースの真ん中にある長いテーブルトップジャンプも、ためらうことなく蹴り出せた。

<つづく>