Last race 2

<12/3の続き>

一度交わしたはずの“0”番を着けたCRF150RⅡに、ウォッシュボードの入口で刺し込まれる。右コーナーのインをなぞり、出口に切り立つ斜面へ車体をこするように立ち上がって、そのまま小気味よい排気音で“洗濯板”を駆け抜けていく。上下に大きく揺れるゴーグルの先で、少しずつ離れる小さな背中。でも今日は、あきらめない。ようやく平らなところで、KX85-Ⅱを左から右に切り返すと、メインスタンドの前を通過してホームストレートを斜めに、第1コーナーへ走る。ここでその“差”が止まり、大外のリズムセクションからの折り返しで、前を行くCRFのリヤタイヤに自分のフロントタイヤが重なるところまで近づいて、すり鉢に似た左コーナーの脱出で、KXを赤い車体の左側に寄せる。そして、また、ウォッシュボードで引き離される――。

後ろに着いて2周、同じことを繰り返してフィニッシュラインをまたぐと・・・チェッカーフラッグを持つコーススタッフの反対の手に、“ラスト1周”と書かれた白いボードが乗せられていた。

<つづく>