ウルトラマンダイナ 3(完)

「ダイナミックのダイナだよ。ダイナマイトのダイナ。そして、大好きなダイナ」

ミドリカワ・マイの甘い声が、耳の奥にこだまする――。

最後の“大好きな”は余計だけど、リヤタイヤを派手にすべらせ、半クラッチを当てながら巻き上がる土煙を背に、豪快に立ち上がる。優勝か転倒か――そんなイチかバチかの走りに憧れるワタシは、一体どうすればいいんだろう・・・。たまらず、闇に支配されつつある、くすんだ藍色の空を仰ぎ見る。ブラックホールに吸い込まれながら、もがくダイナの幻が、そこに見えるようだった。

すでに“半世紀”を越えて、こちらもカラダ半分をブラックホールに呑み込まれているようなもの。ならば、すべては「やっちゃったら考える」というのも、悪くないかもしれない。なんとなく、そう思えてくる。でも、この若先生は・・・やはり、おしゃべりが過ぎた。この世の中、知らなくていいことは、たくさんある。