coming soon! 3/3(完)

<12/14の続き>

「ここに上ると、全部見えるんだよね」

砂がただ斜めに積まれているだけの坂を上り、いま下りてきた砂利道からもうひとつ高いところに、ryoと3人で並び立つ。竹林を背にした高台からは、たしかにコースが一望できた。右手に広がるストレートが、ひとつ目の右カーブを折り返して、山肌に延びる。その先に、重機の削り取った跡が、きれいな縦縞の壁を作っている。その壁を軽くなめるように走り、小さな林の向こうを左に回りながら下りてきた曲線は、ゆるやかなうねりへと続く。もう一回、左へ直角に折れると、連続した6つのコブが並び、それを越えて右のヘアピンを抜ければ、ストレートが奥へ延びて、右コーナーをひとつ挟んでテーブルトップジャンプが2つ置かれる。着地してそのまま低く山に向かい、木々の足元を掠めて、上質の山砂が押し固められた長いテーブルトップジャンプの斜面にぶつかる。そこから大きくぐるりと左に回り、さっきのストレートの真横を逆さまに駆け抜け、左に90°曲がると、最後に軽めのテーブルトップが待っている――。

「いやー、楽しそうだ。早く走ってみたいね!」

“第一印象”の好き嫌いは、恋でも何でも大抵外れがない。空に雪雲がかかり、陰に覆われたコースのあちこちに、山砂をていねいに積み上げたセクションがたたずんでいる。どこかモトパーク森に似ているのは、その金色の砂のせいかもしれない。いまは水分をたっぷりと吸い込んで重たく締まっているけど・・・晴れの日が続けばきっと、マシンはさらさらな砂塵を巻き上げて駆け抜けていくはずだ。

「サンドだから・・・開け!開け!でしょ」

湿った話ばかり続けていたsaitoさんが、そこだけ疲れた顔を隠して、うれしそうに笑う。待ちに待った「新MX408」は、まさに生まれようとしている。思っていたよりも、はるかに出来のいい“二代目”には。健やかに育っていってほしいもの、みんなに愛されて・・・。

IMG_0223_convert_20141216231515.jpg