Hard to say 2/2

スモークシールドをおろして、クラッチレバーを握り、左の足先でシフトペダルをチョンと踏む。緑色に光るNのランプが消えたのを見て、右手をひねりエンジン回転を上げながら、ゆっくりと左の中指と人差し指を開いていく。少し遠めでつながるGROMのクラッチ板が張り付き、クランクがドライブチェーンを引っ張ると、リヤタイヤが前に回りだす。そして、すぐに路地を抜けて、畑の脇を通ってバス通りにぶつかる。

右を見ても左を見ても、走るクルマの姿はない。反射的に左にウインカーを出して、小径タイヤをこじるようにして小さく旋回する。あれほど退屈だったバス通りまでのアスファルトにも、浮かれて頬が緩むのはどうしてなんだろう・・・GROMのシートの上、ヘルメットとウェアの隙間に北風を感じながら、貸し切りのアスファルトを思いきり加速する。この感覚に理由なんていらない・・・。