Thirtyish

梅田の地下街には、いつも人があふれている。

JRや地下鉄の駅に行く人、そこからやってくる人、そして阪神百貨店に向かう人と出てくる人。老若男女がてんでバラバラに、早足で通り抜けていく。しゃべる声は派手で大きく、もちろん関西訛り。真冬でも彩を忘れないおばちゃんに、底抜けに明るい高校生。大阪は、地上も地下も、活き活きとしたチカラに満ちている。モノトーンの塊が、静かにうごめく東京の街とは、どこか違って見える――。

通勤の伴に読んでいる小説は、大阪が舞台に描かれている。梅田のにぎわいも、さすがにうまいこと描写されていて、アタマの片隅にあった記憶に色が付いてよみがえってくる。主人公はアラサーの男女、同じ苗字の同い年、誕生日も一緒な二人は、仕事上のふとした偶然でめぐり合う。いかにも小説らしい出会いから70ページ、まだ二人の間に変化はないけど・・・これからどんな話が待っているのか、ページを繰る指先が軽やかに動く。

大阪、梅田。奈加子の姿に、浪花のsumiちゃんの笑顔が映る・・・。