princess Sapphire 2/2

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二人の子どもが一歳を数える前に、ワタシは会社を辞めた。そして、その少し前、愛機を2スト250に戻した。ずっと2ストロークに育てられてきたから、何か感じるものがあったのかもしれない。新しいV型2気筒エンジンを積んだマシンは、“彼ら”と同い年。白と青に塗り分けられたガソリンタンクに座り、Vサインを作って笑うryoが、古いアルバムに収まっている。翌年に発表されたⅡ型のスポーツプロダクション仕様から、「出来が良い」と言われたクロスミッションを移植、年に合った通好みの改造を加えていた。そんなRGV250を手放してすぐ、「排ガス規制」という名のもと、公道から2ストローク車がいなくなった・・・。

加速する2ストローク車の白煙がアスファルトから消えたとき、もう玄人好みのマシンには乗れなくなるのかな?と思っていた。それからしばらくして、今度はキャブレターがインジェクションに侵されていった。メインジェットの“番手”や、“ハリイチ”を気にするのは、「もう古い」ということになった。あと数年すると、いよいよAnti-lock Brake Systemが標準になり、装着していない市販車は生まれてこられなくなる。ちょっとバカにされているように思うのは・・・やはり古い人間だからか。そうした変化の時代にバイクを始めたryoは、何とかギリギリ2ストロークの作法もキャブレターのいろはも、そのカラダに染み込ませられたようだ。

ワタシが会社を辞めてすぐ、長崎に転勤してまった先輩。あの色黒の女の子は、可憐に颯爽と、バイクにまたがっているのだろうか?ryoと同い年の“王女”に・・・会ってみたくなった。