都会の月

田町で仕事が終わる日は、どうも気分が下がる。北ではなく、南に下がっているのがよくない。ましてそれが月曜日だと、余計にそんな気持ちになる。線路に向かった14階の窓からは、レインボーブリッジが三分の一ほど、宵闇にうっすらと漂って見える。ビルとビルの間、ここからだと結構な大きさに映るから、案外驚かされる。橋梁のてっぺんで、衝突防止の赤色灯がゆっくりと点滅を繰り返している。

太陽の下、殺風景に立っていた街路樹にLEDの光が灯る。青色と白色が、仲良く半々ぐらいなのが、かえってビル風を冷たくしているようで、思わず肩をすくめる。人混みを嫌い、第一京浜沿いから離れて、ビルの中をジグザグに抜けていく。風もここでは大人しい。狭いコンビニの出入り口を過ぎて裏通り、田町駅のコンコースへと続く階段の先に、淡く黄色をかぶった月が高く浮かんでいた。