土曜の昼

太陽が白くまどろみながら、南の空に浮かんでいる。朝の散歩がすっかり遅くなって、もうすぐ役場のチャイムがながれて昼になる。雨でも雪でも、晴れていても・・・シロもネロも、まったく気にすることなく、リードを持つ手をチカラいっぱい引いていく。一昨日の氷雨が、あぜ道のところどころに水たまりをつくり、横に広がって歩くワタシたちの邪魔をしている。周りでゆるんだ黒土を、足に絡ませないように気をつけて、いつもの三叉路で折り返す。

団地の入り口が見えてきてやっと、両手に握られたリードがたるんで、大人しく歩けるようになった。空から透けるようにして届くヒカリが、簡易舗装の小道の上、三つの薄い影をつくる。風も凪いで、近くの県道走るクルマの音がまったく聞こえない。少し離れた野球場で練習している子どもたち。いつもは乾いた風に流れてくるその声も、こもったまま響いてはこない。輪郭のぼやけた景色に温い風。このまま引き返して、江戸川の土手で寝転びたくなった。