春の誘い

春雷の翌日、晴れた空に北風が強く流れている。力いっぱいにさえずるヒバリの足下で、ゴボゴボと苦しげに、ポンプ小屋が井戸水を吐き出している。掘り起こされた褐色のすき間を這うようにして、やがて田んぼ全体が、うっすらと水に浸る。水の気配の近くで気の早い蛙が一匹、ググッググッと喉を鳴らしている。陽光と風が互いに引き立て役を買って出る世界に立っていると、何もしないのが罪のようにさえ思えてくる。

風邪のおかげでどこにも出られなかった今日。やっぱり明日は、少し早く起きるとしますか。