モミジ

あいにく子どもと変わらない掌に、ずんぐり太めな4本の指。そして、文字どおり「小さな指」の組み合わせが、およそ楽器と合うはずもない。張りの弱いエレキの弦でさえ、まともに6本押えてコードを鳴らすのは、至難の業になる。ストラトでこの調子だから、ネックの広いレスポールじゃ、もっと手首を返さないと、ミュートとビビリ音だらけで、とてもコードにならない。それでも少しずつ慣れてくると、耳に馴染んだ旋律が、右手の動きに合わせて響く。空ピックがうまくできなくて、何度も同じところでミスをする。妙にMX408を走っている気分だ。アンプを通さない不細工な生音が、一人の居間にこだまする。曲はKissの名曲Detroit Rock City。その華麗なツインリードのパートまで、この分じゃあ、まだずいぶん時間がかかりそうだ。