一年ぶり

ブレーキレバーに掛かる指が、人差し指だけじゃ足りなくなって、大好きな408コーナーでは、何度もステップから足が外れる。その先に今日は、iguchi師匠のCRF150R-Ⅱが走る。路面に掘れたワダチをインベタで回るのが得意なはずの師匠も、第1コーナーでワダチを外しては、フィニッシュテーブルの手前でクラッチレバーをへし折る。それでも2台揃って走り始めると、どちらもコースアウトせずに、いつまでも周回を重ねる。とうとうクラッチレバーを引くのも左の一本指では用をなさず、人差し指と中指を使って、ようやく半クラを当てられるほどくたびれてきた。こうなるともう、コーナーの進入でも脱出でも、KX85-Ⅱは自分の思いどおりに動かない。新しいMX408の短い直線の、ほぼ半分の距離を開けたまま、走り続けるCRFとKX。どちらも引かない我慢比べは、saitoさんのチェッカーで、ようやく幕が下りた。壊れ掛けた左ヒザと、パンパンに腫れた両腕。一年ぶりに味わう幸せに笑みがこぼれた。