お疲れ様 2

<6/7の続き>

町役場から流れる7時のチャイムを聞き終わってから、ウェアやらブーツやらをしまい込んでいたら、運転席に座ったときにはもう、7時30分近くになっていた。太陽はすっかり空高く上がって、東に向かおうとしても、サンバイザーを下ろすことはなさそうだ。昨日の湿り気を残した風を大きく開いた窓から取り込んで、かすかにガソリンの臭いがする空気を思いっきり入れ換え、行き交うクルマの少ない日曜日の県道を、好きなように走り抜ける。農道から出て、橋を渡り、ひとつ市街地を通り過ぎれば、また緑に塗られた田園風景が広がりはじめる。風は稲を揺らして、はるか先へと渡っていく。そのままもうひとつ市街地を抜けて、ようやく馴染んできた長く急な坂道を下る頃にはもう、時計の針が9時を回ろうとしていた。

<つづく>