お疲れ様 5(完)

<6/13の続き>

ryoが居なくなって、すっかりサボリ気味のワタシを尻目に、MC全戦エントリーを続けるざりまま。nagashimaパパの次は、最近「乗れてる!」という彼女のCRF150RⅡの後を追う。最終コーナーを立ち上がるCRFの上、こちらに一瞥をくれる。勢い全開にした2スト85ccエンジンを、クラッチレバーで解き放つ。もう“慣らし”なんて構っていられない。重なるように第1コーナーを目がけ、右手が止まるまでスロットルを手前に絞り込む。インにCRF、アウトにKXと路面に伸びる軌跡が離れては、続く直線で重なり合う。そして、上りながらの408コーナーで、またインとアウトに分かれて・・・付いたり離れたり、その繰り返しだ。いつもなら4ストマシンの立ち上がりに舌を巻くところだけど、今日の“土”は塩梅がいい。アウト側を気持ちよく回っていけば、すぐ目の前に、小さな背中が迫る。少しずつ、その差を詰めていけるのは、この路面のおかげだ。そして、「ハートは“か弱い”の」と本人が言うとおり、フロントタイヤをちょこんと視界の隅に押しやると、途端に赤いマシンは暴れ出す。フープスの終わりの右ターン。それまできれいにカーブの内側を回っていたはずなのに、周回のたび、だんだんと外へ逃げていく。

それでも簡単にはゆずらない。アウトから切れ込んでくるKXの出鼻を、CRFのフロントタイヤがくじいては、前にかぶさる。何度かぶつかりそうになっても続けられるのは、身内同士のいいところだ。nagashimaパパを見送ってからも、そんな“バトル練習”をしていたら・・・あっという間に最後の10分になっていた。走らないかな?と思い、チラッと横を見たら、もうヘルメットをかぶっている。そして、「10分しかないからね」と、走行時間になる前からパドックを抜けていき、キッズ並みのやる気を見せるざりまま。その彼女に引っ張られるようにして、最後の10分を走り切り、笑顔でパドックへ帰ってくる。ホームコースがこの場所に来てから今までで、一番うまく走れたような気がするのは・・・ちょっと感傷的になっているからか。洗車機できれいに洗ってやると、まだ高くにいる太陽からの陽を浴びて、緑色したマシンがうれしそうに輝いている。お疲れ様、どうもありがとう--ryoと一緒になってつぶやきながら、BONGOの荷室にゆっくりと収めてやる。パドックに別れを告げて運転席に乗り込むと、バックミラーの中、#41をつけたマシンが誇らしげに前を向いていた。最後の相手がざりままで、よかったな!