空に願いを

ざりままがFacebookに書き込んだように、「降る降る詐欺」にワタシも引っかかって・・・すっかりノーバイクな日曜日。雨で濡れているならストラトでも爪弾こうものを、空は明るい曇り空。あまりにすることがなくて、ガレージからKTM85SXを引っ張り出して、細い車体に不釣合いなキックペダルにサンダル履きの右足をかける。そしてチョークノブを真上に引き上げ、ガソリンコックを捻り、思いきりアルミ製のペダルを踏みおろす。

短いストロークを何度か繰り返しているうちに、KXの半分ほどの太さしかないサイレンサーから、歯切れのよい排気音が白煙とともに吐き出された。濃い目の混合気にむせそうになりながら、ゆるやかに車体を揺さぶり回り続けるオーストリア製2スト85エンジン。暖まって回転が落ちてきたところで、クラッチレバーを握り、シフトペダルを左足で踏み込む。割としっかりしたストロークと大きめな反動でギヤが1速に入った。

かなり抑え目の回転数でクラッチをつないでも、するすると前に出て行く85SX。評判どおりの低速トルクに満足していると、ググッとチカラが湧いてきそうになる。あわてて2速にシフトを蹴り上げて、すぐに3速。短いアスファルトの上、封じ込められたチカラの片鱗を見せながら加速する橙色のマシン。ちょっと味わったおかげで、かえって乗りたくてたまらなくなった。来週こそは・・・クラッチレバーを握りしめ、一度空吹かししてエンジンを切るとき、空にそう願った。