あの日のR121 6

<8/5の続き>

深い山の中、雷鳴はアタマのすぐ上で破裂する。濁る視界、黄色いアルミタンクの下でデスモドロミックが、雨に洗われる。バケツをひっくり返しただけでは、こうはならない。すでに前を走る国道は、大きな水のうねりになって、クルマの小さなタイヤを半分、飲み込んでは飛沫をあげている。残量の少ないガソリンタンクに雨粒が当たって、大きな音で繰り返し弾けていた。

<つづく>