あの日のR121 7(完)

2005年、あの夏の日を最後に、MONSTERは居なくなった。何の前触れもなく静かに居なくなって、ガレージの同じ場所には、橙色の250EXC-Rがたたずむようになった。オンからオフへ、山の反対側を滑り落ちるように今までとは違う景色を見るようになって・・・今年で10年が経つ。かつてのドライブインは、ほとんど緑につつまれ、伸び放題の草の固まりになって夏日に照らされていた。

こうして緑の中、アスファルトを走っていると、もう一度あの不自由な空冷2気筒を駆ってみたくなる。がさつな、だけど電気仕掛けでない、伸び伸びと自由だった、あのマシンを。