変わるもの、変わらないもの 2

<8/9の続き>

右に大きく曲がりながら下るBONGOの助手席から、暑苦しいカラダが乗り出してくる。「スターティングゲート、付いたんだ」と見やるホームストレートに、散水車が白い放物線を描いていた。しばらくは雨も降らず、35℃を越す猛暑日が続き、水を垂らされたところだけが褐色を取り戻す。所々で上下に揺らされるたび、バックミラーを覗いては、ブレーキペダルに足を載せる。今日はミラーに後ろの景色が映らない。いつもより右に寄せられた85SXの隣には、真っ黒な外装をまとったCRF150R-Ⅱ。ミラーの視界のほとんどは、その黒いゼッケンプレートに奪われている。そのままブレーキを引きずりながら受付の横にBONGOを止めると、走行申込書をはさんだバインダーを二つ、右手に掲げながら、saitoさんが近づいてくる。「お帰りー」。助手席にryoが居ることをわかっていたsaitoさんに、ryoも明るく言葉を返す。「ただいま!」と。

<つづく>