DEAD OR ALIVE

約束した、その日その時間に、CD-ROMを手渡すことだけが目的となり、 ついには内容は問わず・・・まるで手配書、DEAD OR ALIVEってやつだ。いつも最後はそう、今日も同じように、とにかく17時には都心のビルの1階で、CD-ROMを2枚、無事に届けられるかどうかの話になった。いつも以上に登場人物が多くて、なのに途中で役どころが変わってしまったり、あろうことか最後を見届けないまま休暇に入る若者まで出てきて・・・時間をギリギリまで使って、ようやく完成させることになってしまった。

その出来上がったばかりのCD-ROMをバッグに積めて、慣れない地下鉄を乗り継いで、大きなドームが近くに見えるビルへと駆けていく。こんなだらしない業者を、いつも明るい笑顔で迎えてくれるのが、クライアントの担当者。真剣な眼差しで納品物の説明を聞き、最後はワタシの姿が見えなくなるまで佇み、深くアタマを下げる。その姿に、「次はもっとしっかりやりますから」と心で呟き、踵を返して通りに出る。彼女が担当じゃなかったら・・・とうに首を切られているんだろうか。もう一度振り向き、暗いビルに点る灯りを見上げながら立ち尽くしていると、入れ違いにやってきた同僚に、ポンと肩を叩かれた。