Love isn't sorry and pain.

まだメールも携帯電話も、想像すらできなかった時代。ワタシはそんな時代に中学生活を過ごした。

すべてがアナログに包まれていた頃の話、いわゆるラブレターというものを、いくつかもらったことがある。数は少ないから、もちろん相手は全部覚えているけれど、そこに書かれていた詞を今でもキオクに残しているのは、teruのものだけだ。今ならきっと、仮想空間を愛好してしまうような、とにかく幻想的な世界に入り込んでは笑い、涙を流す女の子だった。音楽も、旋律よりそこに描かれている世界、詞が紡ぎ、描き出す世界に憧れ、畏怖する、そんな子だった。

彼女はワタシに興味があって、厚手のしっかりした便箋に、想いと詩をよく書いてくれて、そんなワタシは、彼女の隣にいる娘が気になっていて、その娘は、彼女の友人で・・・クラス替えを繰り返す3年間にあって、めずらしく卒業まで同じクラスで進み、だから、すべてがうまくいかないまま、それぞれ別の高校に出ていってしまった。そんなteruが、ワタシの趣味に無理矢理合わせてくれて、一緒になって聴いてくれたKISS。4人の中ではポールが好きで、ポールの作る楽曲が好きで、そのうちのいくつかの曲から詞を切り取っては、ラブレターに貼りつけてくれたりもした。

Love isn't sorry and pain.

彼女が大好きで、何度もつぶやいたフレーズが今、ヘッドホンから流れ出す。Tonight You Belong To Me。ポールのソロアルバムのオープニングを飾るこの曲を聴くと、今でも彼女を思い出す。セーラー服にくせ毛の、泣き虫の笑い顔を。