真夏の最後に~ざりまま編~ 3(完)

反った斜面に挑むようにタイヤを押し当て、高く跳び上がっては反対の斜面のその先に、鈍い音とともに落ちていく。3本ある上り坂で詰め寄る背中には、小さく金色の髪が揺れている。どこまでも頑なにインを守り、アウトから迫る橙色のマシンにブレーキペダルを踏ませては、荒ぶる排気音を残して加速していく。まったく隙を見つけられないまま、ざりままの真後ろでチェッカーを受けて、2台並ぶようにしてパドックへと戻っていった。

その出来過ぎた走りをからかいに、ざり家のトランポまで遊びに行くと、「だ・か・ら・さ、あんまり調子に乗るんじゃないよ」と、さっそくざりぱぱになじられる。「はいはい、わかってますって。気をつけてますって」と返すざりまま。たぶんコースの外から見ていてもわかるだろう、このところの彼女の走りは抜群だ。そんなやりとりを聞きながら、ふと、ざりぱぱと150の組み合わせがアタマをよぎる。一度はその組み合わせを試してみたい――はたして、ままより速いのか・・・。