イリュージョン 4(完)

<9/19の続き>

軽い車体のせいか、それとも右足をはずしたからか。いつもよりオーバーステア気味で、コーナーに入ろうとするGROM。でも、蛇角がついたわけじゃない。たとえるなら、サイドスタンドを軸にしてその場で車体が回転するような、そんなタイヤが浮き上がって向きを変えるヘンな感触を味わいながら、迫るコーナーに少し恐怖する。ブレーキペダルを離れた右足にばかり頼っていたから・・・うまく車速を殺しきれないでいた。引きずりたいリヤブレーキはもう、どこにもない。

戻したくなる右足を我慢して、代わりにフロントブレーキを引きずると、GROMはさらに右に切れ込むように流れ、そのまま反対車線にはみ出してクリッピングをかすめていった。何だかよくわかないけど、慣れたらなんか楽しい、そんな気がした。峠によくあるアップダウンと九十九折りでは、体重移動が忙しすぎて、うまくないかもしれないけど・・・長いストレートの後のコーナー。そう、たとえて言えば、どんなコースにもある、第1コーナーにはよく合うはずだ。

すぐに右足を折り畳み、クランクの出口、左の直角コーナーに備える。普段どおりのリーンウィズでさばき、直線の上、「モトクロスでも使えるかな?」とぼんやり考える。走ったことはないけど、見た目はどこかダートトラックにも似ているし、邪がさらに極彩色に染まっていく・・・深い山砂と幅のあるカーブ。おまけに右コーナー。MX408でひとつ、試してみようか。イリュージョンライド。乾いたホームコースで楽しみがまた一つ、増えてしまった。