泥にまみれて 2/2

<10/11の続き>

弱々しく第1コーナーを回って、408コーナーに向かうストレート。そのわずかな上り勾配にもう、トルクフルな4ストエンジンは反応しない。そして、両足を泥の上に落としたワタシの両脇を、にぎやかにマシンが駆け抜けて、その大きな左バンクを暴れながら回っていく。しばらくして排気音のかたまりがずっと先に消えていったところで、ヘルメットから100%のゴーグルを外した。タマネギが腐ったようなというほどに臭いはしなかったけど、たしかにCRFはクラッチ板を焼いてしまったようだ。2ストと違ってチカラがある分、一気に焼けてしまうのか、たったの1周で完全にイカレちまった。

そのままマシンをコースサイドに押して運び、スターティングゲートの後ろへと出て行く。エンジンはよく回っても、それをリヤタイヤにうまく伝える術を失ったCRF150R-Ⅱは、気まぐれにギヤ抜けしたような爆裂音で歓声に包まれるコースをつんざきながら、嫌らしいくらいにゆっくりとパドックへ戻っていく。8分に短縮されたレースは、サバイバルの様相で、まさに佳境。saitoさんのMCが熱っぽく、その様子を風に乗せている。ひとつ肩で息をついたのは、泥にまみれたCRFを引っ張り上げたせいで、走って疲れたわけじゃない。

見ればマシンもワタシも泥だらけ。こんな姿を、空の上からアイツは、何と言うだろう・・・。