泥にまみれて~番外編

プラスチックハンマーで叩きながらクランクケースカバーを取り外すと、狭いガレージの中が一瞬で焦げ臭くなった。「焼き付く」とは、なるほどうまい表現だ。フリクションプレートはオイルと同じように濃い褐色に焼けて、その間に挟まれて、鈍い銀色をしていたはずの金属製のプレートも、見る影もなく真っ黒に焼け焦げていた。

ケースカバーのガスケットを買い忘れたおかげで元には戻らなかったけど、新しいプレートへ交換しているうちに、ガレージの臭いが気にならなくなっていった。どうやら次のイバモトには、完調なCRF150R-Ⅱを連れて行ってやれそうだ。