274.6kmの休日 3

<10/19の続き>

佐野のアウトレットモールは素通り、国道50号線を少しだけ走ってまた、みかも山の南麓へと高規格の片側2車線から広域農道にそれていく。広めの道はいくつかのアップダウンを繰り返してみかも山から大平山の麓をすり抜け、栃木市へと続いている。

「ここ、ミニ勝沼って呼んでるんだけど」。クラッチレバーを握りしめ、惰性で走るGROMに近づいてきたori-chanに向かって、大平山のすそに広がるぶどう畑を指さしながら、声を張り上げる。栃木県とぶどうの組み合わせがしっくりこないのか、サングラスに茶色く枯れてきたぶどうの葉を映しては、自分自身を納得させるように何度もうなずいていた。

朝早く出てきたおかげで、昼食にはまだ時間が有り余っている。市街地に入って、巴間川沿いに立ち並ぶ蔵でも見物しながら、美味しいものでも探そうとしていたけど、あっさり先へ進むことに決めた二人。栃木駅を迂回する環状線から離れるように、足尾に抜ける道へと左にウインカーを出す。行楽客に沸く彩りの日光をも射程に入れたルーティングに、ココロがざわついた。

<つづく>