274.6kmの休日 4

目指す粕尾峠の荒れ具合が想像できないほど、2車線を保つアスファルトが思川に沿って左右に揺れながら、ゆるやかに高度を上げていく。途中、東屋と簡易トイレが据え付けられたポケットパーキングにマシンを停めて、二人並んで缶コーヒーを啜っていると、遠くからビッグマシンの咆哮が駆け上がってきては、目の前の90°を、思い思いのラインをたどり立ち上がっていく。栃木ナンバーが多いところを見ると、地元の走り屋たちが好む道なのだろう。たしかに車の通りはほとんどなくて、路面もきれいに安定している。減速時の破裂音は、マシンが加速を始めると、やがて連続して伸びやかに山の中へと消えていく。幾度となく、そんな後ろ姿を見送っているうちに・・・サングラスの奥、ori-chanの瞳が陽射しを受けて、きらめき出していた。

<つづく>