274.6kmの休日 5

前をゆずられたori-chanと、愛機の4ストローク125ccオートマエンジンが、低くうなるように回り、小砂利を蹴り散らしてアスファルトを駆ける。不意をつかれて大きく車間を開けられてしまう。少ない排気量に、強くなる勾配。気まぐれに降る光の中を、意地になって追いかける。4枚ギヤの歯を持つGROMは有利だ。ちょっとしたトルクの落ち込みに、ギヤの歯を替えて立ち向かい、僅かずつ、青と白に彩られたテールに近づいていく。

車体をコーナーのアウトに振ってからリーンを決めるori-chan。ハンドルに両手を添えながらもぐっと腰を屈めるようにして、ヘルメットのシールドをメーターと同じ高さに固定する。まるで小僧のような、その前傾姿勢に思わず吹き出してしまう。そして、こちらも負けじと、上半身を思いきりコーナーの内側に沈めて、極端なリーンインでちょいと張り合ってみる。MX408ではよく見る光景が、こんなアスファルトの上で再現されるとは・・・ヘルメットの中で笑い声をあげながら、そのままの姿勢でori-chanのインを突く。

泥の上とは違った展開に、今度はori-chanが口元をゆるめて、後を追う。2台とも全開で走っているのが、どうにも可笑しくて仕方がなかった。

<つづく>