はぐくまれるモノ 3

雛壇にあがったH2Rの横に、250ccの市販車と125ccの市販予定車が並ぶのは、当世流なのかもしれない。会場でも図抜けた広さを誇るHONDAのブースは、四輪と二輪が一緒に飾られ、かえって人の流れが読みにくい。それでも辺りを魅了しているのは、憧れの音速マシン。未来を感じさせる展示車は、KにもHにもどちらにもなく、わざわざ隣のブースまで移らなければならなかった。

青白い電飾に包まれた空間は、どこか近未来を思わせる。鋭敏な感性をもつYAMAHAらしい、斬新な演出だ。出自を物語る弦楽器から左へと翼を広げるように、モーターを心臓部に抱いたモデルが2機、壇上に配されている。広い会場でただひとつ、夢を見せてもらえた気がする。対照的な伝統美をまとうマシンが125ccなのは、時代の流れを微妙に汲んでいるのだろう。

バレンティーノ・ロッシを抜き去るためのアンドロイドに驚き、そのまま横のブースに紛れていく。HONDAとまったく同じ手法で展示車を構成しているSUZUKIは、どこに二輪が並べてあるのかすら、はじめはわからなかった。未来志向のポップな電気バイクは、わずかに50cc。最小の排気量で汲み上げられ、ワタシが知っている時代から変わらない、迷える浜松の雄そのものだった。

<つづく>