意気地なし 2

<11/21の続き>

ベースプレートぎりぎりまですり減ったCRF150R-Ⅱのブレーキパッドを見つけたのは金曜日の夜。あわててざりままにメールを出してみたら、あっさり谷田部行きを宣言されて・・・他に予備のパッドを持っていそうな知り合いに心当たりもなく、ワタシには85SXしか残されていなかった。おまけに三連休の後ろ二日をkeiに予約されていては、マディとわかっていても85SXしか選びようがない。「少しは乾いていてくれるだろう」と、淡い望みを大事に膨らませながら走る軽トラが東に進むにつれ、路肩に光る雨水が増えてきた。

saitoさんのブログを見た常連たちが敬遠するのも無理はない。

スターティングエリアのはるか上から覗くMX408は、雨に浸っていた。ホームストレートから第1コーナーを回り、408コーナーへと延びる上り勾配には、いくつもの水のワダチが走っている。ギヤを抜き、惰性で降りてきた軽トラに近づき、「どうします?」と申し訳なさそうにsaitoさんが、小さく声をかける。ウィンドウ越し、「ちょっと様子見しても大丈夫?」と短く答えると、すぐに申込用紙を引っ込めて、パドックの方へ手を差しのべた。その指の先、のぞいたハイエースは、サイドウィンドウに“Kawasaki”と、白い切り抜き文字を貼り付けていた。

<つづく>