忙中閑あり

冷たい風の中、わずかに感じるのは春の兆しか、それとも冬の背中か。降り立つ薄暮のホームに、細く長く影が延びる。鼻の奥、湿った粘膜に何か触ったような気がするのは、気のせいなんかじゃない。桜が咲いては散り、青い空に新芽が艶やかに映り込むまで、ちょっぴりつらい季節がやってくる。本当の春がやってくる前に、自分で時間の都合がつけられなくなってしまう前に。そしてハナが詰まってノドがかすれて声が出せなくなる前に・・・立春の今日、忙中閑あり。さて一夜の宴を楽しむとしますか。