跳んだ 2

スペシャルなCDIのおかげで、途中で4速に上げてもまったくチカラを失うことなく、褐色の勾配を駆けるSX。荒れた路面に弾かれながらも、そのままコーナーのアウトの縁に向かい、フロントタイヤをまっすぐに走らせる。そして、タイヤがぶつかる直前、SIDIのかかとでシフトペダルを蹴りつけ間違いなく3速に落としてから、いつもより少し遠巻きにして立木をすり抜けていく。そこから急ぎ車体を引き起こし、クラッチレバーに左の人差し指を添えた。青いゴーグルレンズに、その先の黒いリップが映り込んだ。

<つづく>