正しいウソのつき方 6

土埃にまみれた仲間が、一人また一人と、砂利の上に止めてあるCARRYへと戻っていく。利根川を渡る有料橋のずっと向こうに、大きな橙がゆっくりと落ちていって、河川敷から2ストロークの金属音が消えてなくなった。明日、陽が昇れば、また仕事の一日。鬼の居ぬ間は、つかの間、夢のような時間・・・いや、夢の時間だった方が、かえって良かったかもしれない。

店じまいを始めて、SUZUKIのマシンが次々とCARRYの荷台に載せられていく。ワタシのTSは、後輩の手で荷台に縛り付けられ、運転席を先輩に譲り、水戸街道から環七を抜け暗い夜の街道を、オフロードバイクを積んだ軽トラが連んでひた走る。ブレーキと左にクルマが動くたび、踏ん張る右足がズンと痛み、浦安に着く頃にはもう、どこが足首がわからないほどに膨らんでいた。

<つづく>