晴れたら

ひとつの翳りもない真っ青が、空いっぱいに広がっている。片隅にちぎれた綿雲が白くたなびき、その青さが余計に目に沁みてくる。しばらく冴えない空を見てきたせいで、瞳の奥までまぶしく染まりそうな朝。まだ幼い稲の補が、薄く張った水面に大人しく並んで、緑色した線をいくつも延ばしている。風も消えて、枝葉を茂らせた立ち木の姿が、その線をまたぐようにして逆さに落ちている。まるで梅雨が開けてしまったかのような、まっすぐな光と濃い影法師。窓を開けて乾いた空気を招き入れて走っていると、何だか仕事に向かうのが馬鹿らしくなってきた。