Last chance

バックストレートを斜めに駆け抜けて、ギャラリーテーブルを跳び上がる。リヤタイヤを少し左に振りながら遠く視線の先、フィニッシュラインにマイクを片手にたたずむsaitoさんと、抱えた「ラスト1周」のボードが目に入った。「えっ、もう」と声を上げ、もう一つテーブルを跳び越して、フィニッシュラインを空中でまたぐ。machi-sanとtake-sanの笑顔をゴーグルレンズに映して、着地と同時に右手を握り直す。L-1が早いと思ったのも、走りながらレース以外のことを考えるのも、久し振りな気がした。影の映らない路面と、白く巻き上がる土埃に、旧いMX408のフィニッシュテーブルが霞んで見えていた。

<つづく>